顎関節症の症状
・顎がカクカクなる
・顎が痛い
・口が大きく開かない
といった症状を経験したことはないですか?それは顎関節症です。
顎関節症とは
顎関節症とは顎の痛みや口が大きく開けられない、カクカク音がなるといった顎の関節や顎の筋肉の症状が出る病気です。
顎関節症は生涯の間に2人に1人は経験すると言われている誰しもがなり得る病気です。
顎関節症の種類
顎関節症といっても1つではなく複数の種類に分けられます。
丸で囲まれている範囲が顎関節で、関節やこの周辺の筋肉や組織に炎症や障害が起きるものになります。
Ⅰ型. 咀嚼筋痛障害
咀嚼筋痛障害は、咀嚼筋痛(食べるときに使われる筋肉)とそれによる機能障害が起こるもので、症状としては筋痛・運動痛・運動障害があるとされています。
咀嚼筋痛障害の主な病態は筋痛・筋膜痛ですが病理生理学的に不明な点が多いです。
Ⅱ型. 顎関節痛障害
顎関節痛障害は、顎関節痛とそれによる機能障害を主徴候とするもので、顎関節円板障害、変形性顎関節症、顎関節への外来性外傷(顎頭蓋部への強打、気管支挿管など)や内在性外傷(硬いもの無理な咀嚼、大きなあくび、睡眠時ブラキシズム、咬合異常など)によって顎運動時の顎関節痛や顎運動障害が引き起こされたものです。
その主な病変部位は、滑膜、円板後部組織、関節靭帯(主に外側靭帯)、関節包でそれらの炎症や損傷によって生じます。
Ⅲ型. 顎関節円板障害
顎関節円板障害は、顎関節内部に限局した,関節円板の位置異常ならびに形態異常に継発する関節構成体の機能的ないし器質的障害と定義されます。顎関節内障と同義です。
主病変部位は関節円板と滑膜であり、関節円板の転位、変性、穿孔、線維化により生じるとされています。
現在ではMRIにより確定診断が可能で、顎関節症の各病態の中で最も発症頻度が高く,患者人口の6~7割を占めるといわれています。
a:復位性
開口時にクリック音(カクっという感じの短い音)を生じて,下顎頭が関節円板の後方肥厚部を乗り越えて中央狭窄部にすべりこんで下顎頭-関節円板関係は正常に戻るものの,閉口していくと円板が再び転位してしまうもの。
b:非復位性
どのような下顎運動を行っても関節円板が前方に転位したままであり、それにより下顎頭の運動制限が生じると開口障害が生じるもの。
クローズドロックは、この非復位性関節円板前方転位に随伴する開口障害の呼び名。
復位性関節円板前方転位の一部は、非復位性へと進行。持続していたクリックは消失するが,前方に転位した関節円板が、患者のいかなる自発運動によっても復位できずに永続的に前方転位したままの状態となり、患側下顎頭の前方移動量が制限され、それに伴って開口障害と開口路の患側偏位が生じてしまう。
IV型. 変形性顎関節症
退行性病変を主徴候とした病態で、その主病変部位は関節軟骨、関節円板、滑膜、下顎頭、下顎窩にあり、その病理変化は軟骨破壊、肉芽形成、骨吸収、骨添加です。
臨床症状としては関節雑音(特にクレピタス:捻髪音:持続時間の長い摩擦音)、顎運動障害、顎関節部の痛み(運動痛,圧痛)のうちいずれか1つ以上の症状を認める。
非復位性関節円板前方転位を高頻度に認め、関節円板に穿孔や断裂を認めることも多く、進行すると下顎頭、下顎窩、あるいは関節隆起は、骨吸収や骨添加により変形する。この変形性顎関節症の罹患率は加齢とともに増加する。発症頻度に性差は認められない。
顎関節症の原因
顎関節症発生のメカニズムは不明なことが多く、いまだによく分かっていません。
日常生活を含めた環境因子、行動因子、宿主因子、時間的因子などの複数の因子が積み重なり個体の耐性を超えた場合に発症するとされています。
環境因子
緊張する仕事、多忙な生活、対人関係の緊張など
行動因子
硬い物の咀嚼、長時間の咀嚼、楽器演奏、長時間のパソコン作業、単純作業、重い物の運搬、編み物、絵画、料理、スポーツなどがあり、習癖として覚醒時ブラキシズム(歯ぎしりや食いしばり)、日中の姿勢、睡眠時の姿勢、睡眠時ブラキシズム(歯ぎしりや食いしばり)、などが挙げられます。
宿主因子
咬合、関節形態、咀嚼筋構成組織、疼痛閾値、疼痛経験、パーソナリティ、睡眠障害などが挙げられる。
時間的因子
悪化・持続因子への暴露時間
何科に行けばいいの?
顎関節症の方の多くはⅢ型の復位性関節円板障害ですので、まずはかかりつけ歯科医院(近くの歯科医院)で大丈夫です。
もし外科的処置が必要と判断された場合は口腔外科へ紹介されますので紹介状をもらってください。
治療法
顎関節症の自然経過を調べた研究では,顎関節症は時間経過とともに改善し,治癒していく疾患であることが示されています。
そのためできるだけ保存的で可逆的な治療を行うことが推奨されています。要するに不可逆的な治療はするなと言うことです。
不可逆的な治療とは顎関節症治療のために歯を削ったり、被せ物をしたり、矯正をしたりと言うことです。
可逆的な治療法としては、マッサージをして筋肉をほぐしたり、遠赤外線のレーザーを当て筋肉の緊張をほぐしたり、開口訓練や円盤整位運動を行って関節円板を整位したり、マウスピースを入れて夜間の歯ぎしりによる筋肉への負担を軽減させたりします。
自宅でできるセルフケア
多くの方がなるⅢ型の関節円板障害の場合は自宅でのセルフケアが大事になってきます。
マッサージと開口訓練をして関節円板の位置を整えてあげましょう。
円板整位運動療法は関節円板の位置を戻すのに有効な運動になります。
顎関節周辺は血流が悪いのでしっかりマッサージを行った上で筋肉をほぐし円板整位運動療法を行いましょう。即効性があるわけではないので毎日地道に行うことが大事です。
(NHK:健康chより引用)
まとめ
2人に1人はなると言われている顎関節症。顎が痛いとせっかくのおいしい食事も楽しめなくなります。
顎関節症のうち大半はご自身でのケアで良くなりますので、この記事を参考にしていただければと思います。
参考
顎関節症とは(特徴・分類など)顎関節症とは、顎(あご)の関節とその顎に関連する筋肉=咀嚼筋(そしゃくきん)の病気です。顎の関節と咀嚼筋の問題が混在しているため、混乱されることも多くなっています。咬み合わせが直接の原因ではありませんが、関節の位置などが咬み合わせによって変化するため、診断・治療には、咬み合わせがよくわかっている必要があります。http://kokuhoken.net/jstmj/publication/file/guideline/guideline_treatment_tmj_2018.pdf
【】実践!顎関節症の初期治療となるセルフケアの方法「口を開くと痛い」、「口が大きく開かない」といった症状を持つ顎関節症は、癖や生活習慣も原因になるため、普段のケアも大切です。日常ですぐに実践できる、セルフケアの方法をご紹介します。
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